三菱製 門型マシニングセンタMVR40 衝突によりテーパ内径が楕円に変形した主軸・セルフ研磨

ご依頼の際の状況

加工時に早送り100%にて工具が衝突し、工具抜け落ちなどはなかったが主軸テーパが酷く楕円に広がってしまった。

ご依頼に対する対応

メーカー様からのご依頼により、主軸テーパ研磨後の工具を保持するクランプ力を一定値以下に落ちる前に作業を終わりにしたいとのご要望でした。

テーパ研磨によって減るクランプ力と、改善する振れ精度の関係性をお伝えした上での作業開始となりました。

(精度を求めてテーパ研磨を実施すれば、研磨量によってクランプ力がどんどん低下する背反関係です。)

お客様としては、50mm程度のツール長で5μ程度の精度加工があるためその程度の振れは確保したいとの要望でした。

研磨前テーパ(少し研磨した状況です)
研磨後テーパ
研磨後のテーパ 反対側

研磨時の状況や研磨後の結果

研磨前の振れ精度はBTテストバーにて150μ/300mmでしたが、

テーパ研磨後の振れ精度は、BTテストバーにて平均25μ/300mmとなりました。

その後、主軸端面をBBTの規格に合わせて研磨し、BBTテストバーにて20μ/300mmとなりました。

かなり大きな衝突だったようで、テーパ口元と反対側テーパ奥が酷く楕円(凹みキズ)になり、研磨前は工具が斜めについてしまう状態でした。

研磨をした際にその深い凹みキズによって振れ精度があまり良くなりませんでしたが、クランプ力との兼ね合いや、

主軸端面側の焼入層の残り量(今後の研磨シロ)より、お客様にご説明・ご納得の上作業完了といたしました。

BBT二面拘束などはテーパ研磨量よりも端面研磨量が(テーパ角度上、必ず)多くなります、その懸念点などをお伝えした上で

お客様が普段よく使用される工具や求められる振れ精度等との状況も考慮し、主軸テーパ研磨作業を行っております。