特急依頼 OKUMA MDB-N(NT50) 主軸テーパ研磨・セルフ研磨

ご依頼の際の状況

夜間一人作業にて、大きなカッターをNT50主軸取り付ける際に、上手く主軸ドローバー(工具引きネジ)が工具を締め付けず、そのまま加工に移ってしまった為、工具が抜け落ちて主軸テーパ内に工具ホルダーが溶着してしまった。

そして、その溶着によって工具が取り付けられなくなり、加工ができなくなった。すぐにテーパ研磨が可能そうな業者を探し、夜間でも電話応対していた弊社に問い合わせをされたとの事でした。

研磨前後の状態やご要望

通常NTテーパではテーパ内(テーパ奥の際)まで工具を引っ張るドローバー(工具引きネジ)が出ている為、テーパ研磨(セルフ研磨)時に、このドローバーを抜き取る・ドローバーを動かしている主軸上のモーター(+ドローバー)を30mm程度持ち上げていただく必要があります。

しかし、メーカーからドローバーは抜き取ることも、モーターごと持ち上げることも簡単にはできないとの回答でした。

新しい工作機械であればテーパ角度が狂っていない可能性がある為、ホルダー溶着を落とすだけで精度は改善するかもしれません。

しかし、古い工作機械だと長年の使用によってテーパ角度も変わってしまっており、ホルダー溶着を落とすだけではセルフ研磨によって加工精度が改善しない可能性がある旨をお客様にお伝えしました。(また、その問題解決にはドローバーを取り外さなければいけません)

お客様よりテーパー内のホルダー溶着をセルフ研磨で落としてみて、(ドローバーが取り外せない為)その後の振れはあまり改善しなくてもよいので、すぐに工具が取り付けられ、加工に戻れるようにしてほしいとの要望・条件の上、作業を受けさせていただきました。

研磨前のテーパ

研磨後のテーパ

研磨時の状況・結果

研磨前テーパの写真のようにテーパ口元に大きな溶着があり、テーパ中央付近に若干の溶着が見られました。

この溶着部分をテーパと同じ高さまで研磨し落としたところ、工具は取り付けられるようになりましたが、やはり長年の使用によるテーパ角度のズレやテーパが楕円になっており、振れがあまり改善しませんでした。

お客様と相談の上、ドローバーとセルフ研磨の砥石が干渉するギリギリまでテーパ奥を研磨してみる事にしましたが、テーパ奥5mm程度が研磨しきれず工具と干渉してしまったため、お客様のリューターで無理しない程度に干渉部分を逃がすよう追加工して、テーパ全体が工具と密着するようにいたしました。(研磨後テーパのオレンジ色がアタリ90%、奥の赤マーカー部分が干渉により逃がしを作った部分)

振れは、ホルダー溶着を落とした時点で50μ/100mm、研磨後10μ/100mmとなり、NT工具メーカーでの振れ精度範囲内に改善し作業完了となりました。

通常ではNTテーパでもテーパ全体を研磨する必要がありますが、お客様の状況や条件(ドローバー抜けない等)によっては、このように現場相談で作業を受けております。

そして主軸テーパ研磨(セルフ研磨)をご依頼いただいた以上、出来る最善の手段で可能な限り精度改善やお客様の要望に沿えるよう努力しております。

また作業スケジュールに空きがありましたら、依頼受付の翌日出張修理など特急依頼も受けております。

匠製作所ではBT/BBT 40/50のテーパ研磨を受けておりますが、状況によってはその他のテーパ研磨も可能な場合があります、まずはお問い合わせください。