HSK テーパの研磨での問題点や懸念点

近年見かけることが多くなったHSKタイプの主軸につきまして、「主軸テーパ研磨・セルフ研磨で振れ精度やアタリを改善できないか」とお問い合わせが多くなりました。

(実経験を含め)HSK主軸テーパ研磨・セルフ研磨を実施した場合の問題点・懸念点をお伝えいたします。

① HSKテーパは1/10テーパであり、テーパ研磨量(片肉)の20倍も端面を研磨しなければいけない
   BT/BBTテーパは7/24テーパであり、テーパ研磨量(片肉)の6倍程度端面を研磨する
② テーパ内にHSKコレットが飛び出しているので、テーパ研磨をする際には必ず外す必要がある
   また、研磨後の確認のためにはコレットをつけ、確認後再調整の為に再度コレットを取り外すと繰り返し
③ ①により端面の焼入層が一回の研磨でなくなる可能性がある
④ ①により研磨後、工具が主軸奥側に入り込みすぎ、既存のコレットが使えなくなる場合がある
   コレットの寸法が短いものを準備しておく必要がある
   但し、テーパや端面の痛み具合・研磨量によってどのサイズのコレットが必要になるかは都度異なる

お客様に準備していただく必要がある事項
 ・②のコレット着脱作業(実機で練習と短時間でのコレット着脱が必須となります)
   コレット着脱の間、研磨はできない為、研磨+コレット着脱+研磨+コレット着脱…が作業時間となる
 ・④の寸法の短いコレット各種準備

HSKでの振れがでる可能性
A:端面が傾く/傷ができるなどにより、工具や検査道具が傾いてついてしまう
B:テーパが開く/傷ができるなどにより、コレットが工具を張らせてテーパに密着できないほどテーパが開く
C:A+Bの複合要因

このように通常のBT/BBTとは違い、HSK主軸テーパ研磨・セルフ研磨では、かなりの制約や条件・準備などが必要になります。

いろいろなテーパ形状のマシニングセンタが増え難しい話になりますが、HSKの加工・使用メリット、保全・修理などを含めたデメリットまで含めて

単純な初期費用だけでなく長く使用していく上での保全も考えたマシニングセンタ導入が必要になってきているのかもしれません。